ウガンダ活動報告
掲載日:2017.03.14
1.活動内容
2017年2月24日(金)~3月4日(土)、乳牛の飼料・栄養管理、草地改善の専門家としてプロジェクト協力農家を訪問し、放牧草地の植生、飼料給与の実態について調査を実施しました。
協力農家の子供と筆者
2. 酪農地帯としてのムバララ県の印象
今回、人生初めてのアフリカ渡航でした。これまでの調査は、降水量の極端に少ない中国新疆・ウイグル自治区やアルカリ土壌の黒竜江省など、気象条件や土壌条件が悪く草資源も乏しい地域が中心でした。渡航前に中尾先生や岡村先生の報告会で現地の写真で見せていただいたので、私の中では、ムバララはこれまで行った中でも「結構豊かなところ」というイメージを持って現地に来ました。案の定、雨季に移行したところでもあったので、草は豊富とはいえませんでしたが「緑色」であり、放牧地植生は「北海道東部酪農地帯での秋の終牧時期」の様相でした。
協力農家の放牧風景
3. 乳牛への飼料給与の現状
今回はあまり時間がなく、訪問農家は限られましたが、主な飼料源が放牧のみの農家もあれば、放牧の補助飼料としてネピアグラスや飼料用トウモロコシを栽培し青刈りやサイレージで給与したり、バナナピール(皮)を給与している農家もありました。これら補助飼料を給与している農家は放牧のみ農家にくらべて高い乳量でした。また、情報のみですが、食品製造副産物のコーンブラン(トウモロコシヌカ)を給与している農家もあるとのことです。
トレンチサイロから取り出したコーンサイレージ
今後の展望と課題
以上のように、ムバララ県には放牧時の補助飼料となり得る農作物残渣や濃厚飼料源としての食品製造副産物が存在することがわかりました。これらの適切な組みあわせ給与による乳牛の栄養改善により、さらなる乳量増が大いに期待できると考えられます。
しかし、問題は乾季です。次回ちょうどその時期にあたる8月中旬にムバララを再訪問する予定ですが、乾季の放牧地植生、サイレージ等の貯蔵粗飼料や農作物残渣、食品製造副産物等の確保状況と給与実態を引き続きに調査し、最終的には雨季乾季を通じた乳牛の栄養改善による乳量増に向けた飼料給与メニュー等の提示ができればと考えています。
中辻浩喜(酪農学園大学、農食環境学群、家畜栄養学研究室)
コーンサイレージの給与量測定
コーンサイレージを採食する乳牛
貴重な粗飼料源のバナナピール(皮)
放牧地の植生調査(被度)
放牧地の草量調査(刈取り)
放牧地の草量調査(重量測定)