つながるエクステンション

日本とコートジボワールで、健康な老いと食について考えてみた。

獣医疫学 蒔田浩平

掲載日:2022.09.07

 獣医師は、国民が安全な肉と乳を必要な分だけ食べることが出来るよう努力しています。食べる、ということは文化であり、健康の源です。今回は「獣医師」の範疇をさらに広げて、西アフリカの獣医さん(スイス科学研究所 バシロー・ボンフォー教授、写真1および2)と一緒に、健康な「老い」と「食」について、日本とコートジボワール(写真3)で、栄養士(食と健康学類 杉村留美子先生、写真4)や文化人類学者(スイス科学研究所 ボニャン・バレンチン・コネ先生、写真3)を巻き込んで、老齢者とお話しながら研究してみました。

 経済面で、日本の老齢者は年金や医療介護保険で安定化を図る一方、コートジボワールでは子供や独自の社会ネットワークを頼りにしていました。日本の老齢者は年を重ねて病気になって若い世代に迷惑を掛ける心配をする一方、コートジボワールでは老齢者は知恵者として社会から大切にされていました。日本では老齢者に対する運動や食に関する教育活動が盛んですが、コートジボワールではこのような取り組みはほとんどされていません。日本では肉、納豆、野菜など、少ない量でバランスよく食べることがよく意識されている一方、コートジボワールでは高カロリー炭水化物の主食と少量のたんぱく質を家族と同じように摂取していました。
 運動、バランスの取れた食、そして社会での世代を超えた支え合い方は、健康な老いに必要です。日本とコートジボワールの学び合いで、お互いの国の持続的な発展に必要なことを認識することが出来ました。

この論文はここからダウンロード頂けます:
[https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fragi.2022.817371/full]

写真1.調査中のボンフォー教授

写真2.参加者と一緒に食事するボンフォー教授

写真3.コートジボワール国ターボでの参加者とのディスカッション

写真4.食と健康学類 杉村留美子准教授