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獣医保健看護学類で定期的に開催している犬のしつけ教室の紹介〜パピークラス、ジュニアクラス、アダルトクラス〜

掲載日:2022.12.15

獣医保健看護学類では、一般の飼い主に対して、学生と教員が一緒に犬のしつけ教室を開いています。その中には、パピークラス、ジュニアクラス、アダルトクラスの3つのコースがあります。パピークラスは犬の社会化期に当たる生後7-8週齢の子犬を対象に行われます。ジュニアクラスは、社会化期を逃した3ヶ月以降の若齢犬に対して行われます。アダルトクラスは、6ヶ月以降の犬を対象に行っています。パピークラスの主な内容は、1)他の犬や飼い主とのコミュニケーションの取り方、2)人、新しい環境や音、物への馴化、3)服従訓練、4)病院の環境やハンドリングへの馴化、5)日常的なメンテナンスへの馴化、6)正しい遊び方です。ジュニアクラスでは、服従訓練を主として、パピークラスで行う馴化の要素を盛り込んでいます。アダルトコースでは、服従訓練を主としたトレーニングを行います。
こういったしつけ教室はニーズが高く、毎回30組以上の飼い主と犬が参加します。パピークラスでは、子犬の社会化期において、人と暮らすための正しい行動やルールを学びます。パピークラスを受けることによって、多くの犬が初歩的な問題行動であるトイレの失敗、他の犬に対する不安や恐怖、飼い主以外の人間に対する不安や恐怖、飼育環境に対する不安や恐怖を予防することが出来ます。また、正しい遊び方を学ぶことで、日常生活において犬本来の行動を生起させることが出来ます。ジュニアクラスの対象犬は、社会化期は過ぎてはいるものの、社会化の学習を全くできないわけではなく、馴化を行う価値は残されています。このように細かく年齢分けを行う理由は、犬には品種により大きな体格差があることです。このため、体格差が小さく遊んだ際に大きな怪我となりにくい幼少期にパピークラスを開始することが重要となります。ジュニアクラスの年齢では、犬種による体格差が出てくる時期ですので、その点も考慮しながら社会化のエッセンスをトレーニングに加えます。他の犬や飼い主が集まる教室の利点としては、しつけに対して飼い主と犬双方のモチベーションが上がること、いろいろな飼い主と犬が集まることによって、さまざまな課題への解決例を共有できることが挙げられます。
このように、人とペットの関係をより良いものにしてくれるしつけ教室がある一方で、まだまだ一般の飼い主の意識は理想のところまでは到達していません。その原因には、こういったしつけ教室を受ける場所が少ないこと、さらにしつけ教室は敷居が高い、と参加を躊躇する飼い主がまだまだ多いことが考えられます。我々の活動によって、より多くの動物病院でしつけ教室が広がることを期待しています。また、飼い主が気軽にしつけ教室に参加できるようになるためにも、我々の活動には大きな意義があると考えています。
最近気がかりなことは、YouTubeなどオンラインでのしつけ方紹介を参考にして、間違ったしつけをしてしまっている飼い主が多いことです。近年、パピークラスの認知度が上がり、飼い犬に受けさせようとする飼い主が増えてきた印象があります。是非多くの動物病院でパピークラスが開かれることを期待します。残念ながら罰を主体とするようなしつけのやり方が正しく行われていない教室もあるようですので、飼い主には、正しい知識を持って教室選びをしてほしいと切に願います。また大事な時期に必要な教育を受けさせてほしいと思います。酪農学園大学の獣医保健看護学類の卒業生はこの技術を学んでいることから、動物病院においてこの分野での活躍が期待されます。今後も獣医保健看護学類では、社会における人と動物の良好な関係に貢献する学術的知識を提供していきます。

図1しつけ教室の様子(郡山尚紀先生が指導中)

図2しつけ教室の様子(学生が指導中)