トピックス

[タンザニアレポート]夏季休暇を利用したインターンシップ

掲載日:2025.10.23

2025年8月、酪農学園大学の蒔田教授(チーフアドバイザー)の現地調査に、同学獣医学類1年生の谷口柊人(Shuto Taniguchi)さんが同行し、フィールド調査や国際会議に参加されました。以下、谷口さんの活動報告書をお届けします。

<活動報告書>

私は2025年8月10日から8月26日までの約2週間、タンザニア・モロゴロ州にあるソコイネ農業大学を拠点として活動している「OHEPP-SATREPS」のプロジェクトに参加いたしました。本プロジェクトは、酪農学園大学を筆頭に、国内外の大学やJICAなどの協賛機関の協力を得て、2024年から2029年までの5年間の活動で、介入地域においてワンヘルス・教育・官民連携によるブルセラ病などの人獣共通感染症の制御アプローチが確立されていることを目標にしています。今回、私は夏休みを利用して、このプロジェクトの中心である本大学獣医疫学ユニットの蒔田教授に同行する形でタンザニアに渡航しました。本報告書では、留学中の体験を振り返りながら、活動の内容や現地での生活、そこで感じたことについて報告いたします。

2日間の移動を経て日本からタンザニアに到着し、首都ダルエスサラームから今回のプロジェクトの拠点であるモロゴロへと鉄道で向かいました。内陸部の中規模都市であるモロゴロは、多くの山々に囲まれており自然豊かで、中心部には、今回長く滞在したソコイネ農業大学が位置しています。

はじめの一週間は、主にフィールドワークを行いました。モロゴロから車で数時間のキロサという村を拠点に、その周りの村の酪農家にサンプリングボトルをお渡しし、牛のバルクミルクの回収を行いました。また、マサイの方々の村では、インタビューを通して日々の牛の飼養や生乳の販売についての現状を調査しました。いろいろな村を巡り、自分の知らない生活風景を見て、機械に頼らない人々の知恵や伝統的な生活の美しさに引き込まれました。

週末の土曜日には、現地の家畜マーケットに訪れ、実際にマサイの方々の家畜の売買や屠畜の様子を見物しました。そこで民族衣装を購入し、マサイの方に着付けてもらったのはとても印象に残っています。また、日曜日には、モロゴロから車で数時間の場所にあるMikumi国立公園のサファリツアーに参加し、ゾウ、ライオン、キリン、カバ、シマウマ、ヌーなど多様な野生動物に出会うことができました。

2週目は、大学のラボでミルクを分析し、含まれる大腸菌群などを数えたり、ELISA法について学びました。2週目の後半には今回のプロジェクトの経過を報告する国際会議が実施され、その準備や運営の手伝いを行いました。初めての国際会議への参加は自己紹介でさえも緊張しましたが、多くの質問や意見が飛び交う有意義な時間に同席できてとてもいい経験となりました。

この2週間、プロジェクトへの参加を通して、タンザニアにおける人獣共通感染症の脅威とそれに対抗する知識や設備の不足を体感しました。タンザニアでは、あちこちで家畜や野生動物が自由に歩いている様子が見られ、ワクチンや衛生環境の整備が行き届いておらず、早急な改善のための活動が必要であると改めて感じました。また、今回の渡航ではそのような獣医疫学について学んだだけでなく、日本とは全く異なる文化に触れ、英語力を急速に高め、現地の素敵な人々と出会うという様々な貴重な経験をすることができました。タンザニアに滞在したのは2週間という短い時間ではありましたが、得られたものは多く、素敵な出会いと発見に溢れた毎日は、驚きと学びの連続でした。10月には、タンザニアで知り合った友人が日本に訪れ、一緒に日本食を楽しんだり、札幌の街を観光することができました。

このプロジェクトに参加できたのは、蒔田先生を代表する酪農学園大学の先生方、国際交流課の関係者様、そして現地でサポートしてくれたソコイネ農業大学やJICAの皆様のおかげです。本当にありがとうございました。この経験で得た学びを、国際的な視野の拡大や獣医療への理解の深化に結びつけ、今後の大学生活や将来の進路に生かしていきたいと考えています。

マサイ族の伝統衣装「マサイシュカ」

大学までの一本道

マサイの人々へインタビュー

ラボワークと現地の学生