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障がい者乗馬実習

臨床病理学ユニット 高木楓

掲載日:2025.01.14

酪農学園大学獣医学類では、クリニカルローテーション馬医療コースの一環として盤渓にある北海道障がい者乗馬センターでの障碍者乗馬に係わる機会があります。
 障がい者乗馬は動物介在性活動であり、騎乗者(馬に乗る人)に心理的・身体的な良い効果をもたらすことが知られています。このセンターでは騎乗者が自立して馬に乗れるようにレッスンを重ねていくことで騎乗者の生活の質を向上させることを目的として活動が行われています。
本学の実習では学生がサイドウォーカーという役割を体験しています。サイドウォーカーは、レッスンの際に騎乗者の左右に寄り添い歩きながら騎乗者の補助を行います。騎乗者の姿勢や表情をよく観察し、安全面に注意しつつコミュニケーションをとることは学生にとっても良い経験となっています。教員はサイドウォーカーのやり方を学生に指導し、実際のレッスン時は学生のサポートに付き添い監督することで、より良いサポートができるように協力しています。
レッスン終了後には教員と学生で馬たちの健康管理の一環でバイタルサインを測定し、異常がないかを確認しています。2024年度は累計で163名の学生がこの実習に参加しました。
実習に参加した学生さんからは“今まで怖いと思っていた馬が可愛く思えた”や“障がい者乗馬の効果を実際に自分で見ることができて良かった”などの感想がありました。
利用者さんやスタッフさんからは、“学生さんがレッスンに参加することで騎乗者さんが笑顔の中心にいる楽しいレッスンとなった”や“学生さんからは元気をもらっている”などのコメントを頂いています。
 引率教員は、毎週の実習参加で障がい者乗馬の効果について一番感じることができています。レッスンでは騎乗者ができない部分に着目するのではなく、できた部分に着目してその個性を伸ばしていく様子を見ていて、第三者に認めてもらうことの大切さを感じています。
このような障がい者乗馬をメインにした乗馬クラブというのは日本全国でもとても数が少ないのが現状です。どのような騎乗者でもの騎乗できる大人しい馬づくりやレッスンに係る人の育成、馬の管理費の高騰などが課題となっています。実習に参加した学生たちにこの活動について知ってもらうことで、国内にある障がい者乗馬を行う活動継続の一助となることを祈っています。

暑い日差しを避けるために日傘を使用して騎乗者の顔に日陰を作っています

レッスンに携わる人が笑顔だと騎乗者にも楽しい雰囲気が伝わります